与信取引の場合の利用目的に関する本人の同意についてはどのようになっているのですか?
与信取引の場合、利用目的に関して本人の同意を得なければならないのでしょうか?
結論から申し上げますと、これに関してましては、本人の同意を得る必要はありません。
なぜなら個人情報保護法では、利用目的に関しては本人の同意を得ることまでは要求していないからです。
与信取引の場合は、本人の意に沿わない利用のされ方をされてしまうのではと心配なさるかもしれませんが、そういうわけではありません。
与信取引の場合は、個人情報の取得が取引の前提になっていますので、信用供与を受けるために本人の意に沿わない利用目的であっても、やむを得ず事業者に個人情報の取得を認めることがあります。
このような場合、利用目的を勝手に事業者が決められるということになりますと、本人の権利利益が著しく害されるおそれがあります。
なので、経産省信用分野ガイドラインや金融庁ガイドラインでは、与信事業で個人情報を取得する場合には、利用目的について本人の同意を得ることが望ましいとしているのです。
ちなみに、個人情報を利用することに同意しなかったことを理由に信用取引を拒否したり、取引上の優越的な地位を不当に利用して、与信業務以外のダイレクトメールの送付に同意することを与信の条件としたりするのは、経産省信用分野ガイドラインや金融庁ガイドラインで禁止されています。
事業者が利用目的を変更することについてはどうですか?
事業者が利用目的を変更することについてですが、これについては、個人情報保護法上、利用目的が変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲内であれば、本人の同意がなくても変更できます。
ただし当然ですが、この範囲を超える場合は本人の同意が必要です。
なお、利用目的が特定されていない場合も考えられますが、そういった場合、事業者としては、消費者に利用目的に従った取扱いがなされていないとして、利用停止や消去を求められかねませんので、できる限り特定することが必要かと思われます。 |