契約書の間違いは捨て印でもよいのでしょうか?
契約書の借入金額のところを間違えてしまったというような場合、捨て印で対応してもらえるのでしょうか。
結論から申し上げますと、このような間違いの場合には捨て印ではダメです。
業者は必ず利用者の訂正印か契約書の差換えで対応することになります。
それではここで捨て印による対応について少しご説明いたします。
捨て印というのは、軽微なミスがあったときでも改めて書類を再作成する手間を省き、その場で訂正できるようにするための便宜的な方法にすぎません。この捨て印というものは、もともとは銀行などでの慣行からきています。
つまり、契約書に誤記や錯誤による記載があった場合を事前に想定して、契約書などの欄外に押印することによって、事務処理を迅速にできるようにしているのです。
また、登記所や公証役場などに文書を提出する際、公証人等の客観的な第三者から明らかな誤記等を指摘された場合にも捨て印で対応しています。
このように、捨て印というのはあくまでも契約中の軽微な事項や記入の訂正を債権者に委ねている事項等に利用されます。
なので、契約書における借入金額等の重要な事項の誤記は、上記のような文字訂正の場合とは意味が違ってくるのです。
では、捨て印で契約書の重要事項の変更を行なった場合はどうなるのですか?
仮に捨て印で契約書の重要事項の変更を行なった場合には、それだけでは当事者間でその重要事項の変更に関する合意があったとはみなされません。
ちなみに、訂正事項が、貸金業規正法上の書面の交付規定に定められている記載事項の場合には、消費者金融などの業者は、変更後の内容について再度記載書面を交付しないと違反になってしまいます。
ですから、そのような場合には、消費者金融などの業者は債務者か保証人に連絡し、双方が立会いのうえで同意を得て訂正印か契約書の再作成で対応し、その写しを交付することになります。 |